宮内庁長官はじめ全職員への意見書
本意見書は、大行社各支部において全国の神社に
持参配布しております。
皆様にもこの運動に御参加いただけたなら幸いです。
昨年十二月二十一日付『神社新報』は、
【―天皇陛下には新年に ビデオメッセージを 宮内庁―
宮内庁は十二月十日、天皇陛下が新年にあたり国民に向けて
ビデオメッセージを発表される予定であることを発表した。】と報じ、
本年一月十一日には、
【―聖上 新年の祭祀に出御 元日にビデオメッセージを―
天皇陛下には一月一日、年の初めにあたり宮中三殿の隣に建つ
神嘉殿の南庭で四方拝に臨ませられ、伊勢の神宮並びに山陵及び
四方の神々を御遙拝になられるとともに、歳旦祭に出御され、
三日の元始祭を御親祭になられた。
また、二日の新年一般参賀が新型コロナウイルス感染症の影響で
おこなはれないことに伴ひ、四方拝の時刻にあはせて一日午前五時三十分、
「新年ビデオメッセージ」が宮内庁ウェブサイトに公開された。】
と記載しました。
天皇陛下のお言葉
皆さん新年おめでとうございます。
今年の正月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、
残念ながら一般参賀の場で皆さんに直接お話をすることが
できなくなりました。そこで、今回は、ビデオで新年の御挨拶を
しようと思います。
振り返りますと、昨年七月に、豪雨により多くの尊い命が失われた
ことは痛ましいことでした。御家族を亡くされた方々や、
住む家を無くし、仮設住宅などで御苦労の多い生活をされている方々の
身を案じています。
この一年、私たちは、新型コロナウイルスという、今の時代を生きる
私たちのほとんどが経験したことのない規模での未知のウイルスの
感染拡大による様々な困難と試練に直面してきました。
世界各国で、そして日本でも多くの方が亡くなり、大切な方を失われた
御家族の皆さんのお悲しみもいかばかりかと思います。
そのような中で、医師・看護師を始めとした医療に携わる皆さんが、
大勢の患者さんの命を救うために、日夜献身的に医療活動に力を尽くして
こられていることに深い敬意と感謝の意を表します。
同時に、感染の拡大に伴い、医療の現場がひっ迫し、
医療従事者の皆さんの負担が一層厳しさを増している昨今の状況が
案じられます。
また、感染拡大の防止のために尽力されている感染症対策の専門家や
保健業務に携わる皆さん、様々な面で協力をされている多くの施設や、
国民の皆さんの努力や御苦労も大変大きいものと思います。
この感染症により、私たちの日常は大きく変わりました。
特に、感染拡大の影響を受けて、仕事や住まいを失うなど困窮し、
あるいは、孤独に陥るなど、様々な理由により困難な状況に置かれている
人々の身の上を案じています。感染症の感染拡大防止と社会経済活動の
両立の難しさを感じます。
また、感染された方や医療に従事される方、更にはその御家族に対する
差別や偏見といった問題などが起きていることも案じられます。
その一方で、困難に直面している人々に寄り添い、支えようと活動
されている方々の御努力、献身に勇気付けられる思いがいたします。
私たち人類は、これまで幾度も恐ろしい疫病や大きな自然災害に
見舞われてきました。しかし、その度に、団結力と忍耐をもって、
それらの試練を乗り越えてきたものと思います。
今、この難局にあって、人々が将来への確固たる希望を胸に、
安心して暮らせる日が必ずや遠くない将来に来ることを信じ、
皆が互いに思いやりを持って助け合い、支え合いながら、
進んで行くことを心から願っています。
即位以来、私たちは、皆さんと広く接することを願ってきました。
新型コロナウイルス感染症が収まり、再び皆さんと
直接お会いできる日を心待ちにしています。
そして、今年が、皆さんにとって、
希望を持って歩んでいくことの
できる年になることを心から願います。
ここに、我が国と世界の人々の
安寧と幸せ、そして平和を祈ります。
と、有り難くも慈しみに溢れたお言葉を述べられたのですが
「時をも司る」とされる天皇陛下の「メッセージ」を
「四方拝の時刻にあはせて」公開されたのは、
明らかに昨年収録したものです、
と暴露されたのはいかがなものでしょうか?
天皇陛下が 国民に応えられるのは例年、四方拝、歳旦祭に始まり、
新年祝賀の行事が済んだ翌日の参賀において賜るもので、
ビデオメッセージは元日に儀式が結ばれた後、
あるいは二日早朝に収録、あるいは二日の適した時間において、
国民に向けて直接述べて頂くべきではありませんでしたか?
もし宮内庁長官に「祭政一致」の理念があったならば、
天皇陛下が神拝をなされているまさに同時刻に、
国民に前年収録したメッセージを出すことなどあり得ず、
しかも総理大臣をはじめ三権の長の新年祝賀をお受けになられる以前に、
恐れ多くも陛下が先んじて新年の挨拶をされるなどという順逆不道に
恐懼されたに違いなかったはずです。
宮内庁は
「たったいま四方拝、歳旦祭で皆のことも祈ってきたのだ」
との大御心を拝しまつるべき発表時刻の工夫をするべき
ではありませんでしたか?
長い時間をおかけになられる御祈念が終わるより前に、
国民は昨年収録済みメッセージを拝見、拝読させられたのです。
バチカンでは法王がクリスマスイブにミサを行い、
翌日世界に向けてメッセージを発すると聞き及びます。
ですから、ミサで信者への説教などは絶対にあり得ません。
信者も法王と同時に祈っているからです。
天皇陛下のメッセージは元旦五時半に
宮内庁ホームページで動画が公開されるとの予告は、
その時刻より前に配達された朝刊に全文が掲載されていたとなれば
「四方拝の時刻にあはせて」は虚偽だったということになります。
また、百歩譲って三権の長に先立ち
「天皇陛下が国民に挨拶された」のであれは、
憲法に記される「天皇は儀式を行う」との規定に照らせば、
儀式に先立って、あるいは儀式と同時に、陛下の個人的な
「メッセージ」を収録、発信したことにはなりませんか?
これは「まず神事、次に他事」という神道における祭政一致の
理念を崩壊させたことになり、政治的には著しく儀礼に反した
ものにもなるとは思わなかったのでしょうか?
加えて今月十五日の「歌会始の儀」は延期となりましたが、
それでは二月、あるいは三月の「月次歌会」はどうなるのでしょうか?
宮中の伝統行事として年の始めに催されることから
「歌会始」と理解しておりますが、「月次歌会」との整合を
図らなければ、それは伝統行事の根拠を失わしめ、ついには
伝統破壊につながることを懸念するものです。
これまで、陛下のお祭りは国民の上にお立ちになられ、
なおひたすら天を仰いで祈りを捧げ給う御姿と拝してきたものが、
もはや陛下は国民の下位におられ、だれよりも先に早起きをして、
ただただ他人の幸福を祈るばかりの役回りを演じさせられ、
そのことを御公務であると今の憲法下に御位を保証されるだけの
御存在になってしまったのでしょうか?
宮内庁ならびに神社界によって、
大きく歪められつつある随神の道の復興、興隆こそ、
戦後レジームからの脱却に他ならないということを肝銘されたく、
意見申し上げる次第です。
令和三年一月十九日
政治結社 大 行 社
運動本部長 小澤 直人
宮内庁長官 西村泰彦殿
他全職員殿
この「意見書」は、本誌新春号本項に記載した
全国神社庁・全閣僚・全国自民党連合会に提出した
「合同葬」に関する文面と併せて神社関係者に配布しております。
読者の皆様におかれましても本文複写の上、お近くの神社に
配布して下さいましたなら幸いに存じます。